大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和40年(オ)229号 判決

上告人(原告・控訴人) 青山ハツエ

上告人(原告・控訴人) 矢原律郎

右両名訴訟代理人弁護士 土家健太郎

被上告人(被告・被控訴人) 矢富政助

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人土家健太郎の上告理由第一点について〈省略〉

同第二点について

論旨は、原判決には本件公正証書作成の代理について民法一〇八条の解釈を誤った違法があるという。しかし、原判決の認定したところによれば、本件公正証書作成については、いわゆる執行約款を含めて契約条項の主要部分がすでに当事者間において取り決められており、公正証書作成の代理人は単に右条項を公正証書に作成するための代理人であって、新たに契約条項を決定するものではなかったというのであり、右認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、首肯するに足りる。そして、このような場合には、債権者が債務者の委任に基づいて債務者のため代理人を選任して右代理人との間に右取り決めに従った公正証書を作成したとしても、右は民法一〇八条に違背しないものというべきであることは、当裁判所の判例(昭和二四年(オ)第一五九号、同二六年六月一日第二小法廷判決、民集五巻七号三六七頁参照)とするところであり、これと同趣旨に出た原判決は相当である。〈以下省略〉

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田誠)

上告代理人土家健太郎の上告理由〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例